30日、ホームにヴォルフスブルクを迎えるドルトムント。主将フンメルスが突然にバイエルン・ミュンヘンへの移籍を公言し、チームは予想外の喧騒に包まれた。そんななかではあるが、香川真司は先発出場が濃厚。本人はシーズン2桁得点への意欲を見せている。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
主将の移籍公表。揺れるBVB
一枚岩を保てるか。2016年4月30日のブンデスリーガ第32節、ボルシア・ドルトムントはホームにヴォルフスブルクを迎える。
ヴォルフスブルクは現在10位と低迷している。前節アウクスブルク戦では、開始1分でフィンボガソンにあっけなく先制点を許すなど、守備はあまりに不安定な姿を見せて0-2で敗北した。
チャンピオンズリーグ(CL)の準々決勝で、6日のホームではレアル・マドリーに2-0で先勝したが、翻って12日のアウェイではロナウドの3発に沈んだ。
それからヴォルフスブルクは公式戦で3連敗を喫している。会見で監督のディーター・ヘッキングは「我々は最近のブレーメン戦やアウクスブルク戦とは違った顔をドルトムントで示さなくてはならない。それが、我々が勝ち点を得る唯一の方法だ」と述べた。
理論上は、ヴォルフスブルクが来季のヨーロッパリーグ(EL)出場権を獲得する可能性は残されている。しかしレアルを相手に、ブンデスリーガを優に超えるインテンシティの高い試合に敗れた後で、モチベーションを保ち続けるのは難しい。
一方でドルトムントは、来月にDFBポカールの決勝が控えている。残された最後のタイトルは、チームがモチベーションを保つために十分のようではある。
しかし、28日にドルトムントの公式HPが伝えたところによると、マッツ・フンメルスがバイエルン・ミュンヘンへの移籍を希望する旨を、クラブに伝えたのだという。この時点で、主将がポカールの決勝で対戦するバイエルンに移籍を希望するという事実は、ファンであれチームであれ影響を及ぼすだろう。
香川はトップ下での先発出場が濃厚
28日にブラッケルの練習場で行われたトレーニングは、集中してリラックスした様子で終わった。しかしグラウンドの外からは、地元紙『ルール・ナッハリヒテン』や、大衆紙『ビルト』の記者が視線を注いでいる。何かあれば『ビルト』の格好の餌食だ。チームは平静を装っているのかもしれないし、そもそも平静なのかもしれない。
ヴォルフスブルク戦でも、香川真司は先発なのではないだろうか。28日のトレーニングでは、コンディションを崩した様子はない。23日のシュトゥットガルト戦の後では困憊したところもあったが、2日間のオフを挟んで、リフレッシュしたようだ。ミニ・ゲームでもそうだったように、トップ下のポジションでの出場となるのは間違いない。
フンメルスの件でクラブの周囲は騒がしいが、シュトゥットガルト戦の後でリーグ戦の残り3試合について「1試合1試合やるだけ」と口にしたように、4月に入ってから上向けた流れを継続して、集中して試合に入ることが重要になるのだろう。
そしてヴォルフスブルク戦では、より一層、ゴールにこだわっても良いのではないだろうか。主将がピッチ外でエゴを表明した後で、ピッチ内でエゴを出したとしても、誰も咎めないだろう。ペナルティエリアに、繰り返しては繰り返し、何度も入っていく。前に行く。得点を奪い切る。シュトゥットガルト戦の後では、シーズン2桁得点への意欲も見せている。
不安定なヴォルフスブルクは、固め打ちの格好の相手だ。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
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