香川の活躍は陰に隠れてしまっている。
香川真司が、ここにきて調子を上げている。試合を決定づける重要なゴールを決め、チームメイトの得点をアシストしているのだ。
しかし残念ながら、彼の活躍は陰に隠れてしまっている。例えば1ゴールを挙げた26節のマインツ戦後には、1人のファンの悲劇的な死と、それに対するファンの反応が取り上げられた。
3年連続のファイナル進出に大きく貢献したDFBカップ準決勝のヘルタ・ベルリン戦後に注目を集めたのが、マッツ・フンメルスが自身の去就について語ったインタビューの内容で、先週の木曜日以降は彼がバイエルンへの移籍を願い出たという話で持ち切りだ。
それゆえ、1得点・1アシストを決めた32節のヴォルフスブルク戦のセンセーショナルな活躍も完全に薄れてしまった。仕方ない側面はあるが、残念でもある。
同じくいま熱視線を浴びているのが、バイエルン退団が取り沙汰されるマリオ・ゲッツェだ。仮に彼がドルトムントに戻ってきたとしても、香川はチームに残るだろう。来シーズンにチャンピオンズ・リーグとブンデスリーガの二足の草鞋を履くことを考えれば、ドルトムントがこのアタッカーを手放すはずがない。
バイエルンへの移籍願望を口にしたフンメルスは、ヴォルフスブルク戦でサポーターから大ブーイングを浴びた。そうしたファンの態度に怒っていた記者も中にはいたが、私は仕方ないと思う。主力選手がライバルクラブへの移籍を望めば、ファンが失望するのは当然。そしてその思いは表に出すべきだと思うし、それを表現するには試合という舞台が適している。
とはいえ、だ。試合終了直前とその後のファンの振る舞いは残念だった。それについては、トーマス・トゥヘル監督のコメントが的を射ている。
「ブーイングと罵倒は違う。あれは限度を超えている」
ヴァツケCEOが求めているのは、最低でも3500万ユーロ。
フンメルスの移籍が成立するかどうかは、バイエルンがドルトムントの要求額を支払うかが焦点だ。
ドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOが求めているのは、最低でも3500万ユーロ(約49億円)。残り1年で契約が切れる選手に設定する移籍金としては高く、そもそもバイエルンが優先的な強化ポイントではないCBにそこまでの大枚を叩くとは思えないが……。
仮にバイエルンが手を引き、フンメルスが残留する運びとなれば、批判的なファンたちはそれを受け入れるだろうか。一部のファンは即解雇、少なくともキャプテンマークの剥奪を望んでいるだけにいきなりは難しいかもしれない。だが、時間の経過とともに怒りは収まっていくはずだ。
逆にバイエルンに移籍するとしても、おそらくゲッツェで“相殺”することはないだろう。ヴァツケCEOとトゥヘル監督が、このMFの復帰を望んでいるとは思えないからだ。もしかすると、ゲッツェはフンメルスの移籍交渉における戦略の一部なのかもしれない。
文:マルクス・バーク
翻訳:円賀貴子
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