本田先発濃厚もトップ下ではない?! 迷走するミラン指揮官、発言が二転三転

ミランは現地時間7日、セリエA第37節でボローニャとアウェイで対戦する。本田圭佑は、引き続き先発が濃厚となっている。前節のフロジノーネ戦では4-3-1-2のトップ下を務めていたように見えた本田だが、クリスティアン・ブロッキ監督によれば、「本田はトップ下ではなかった」というのだ。「システムなど単なる数字の問題」と力説する指揮官だが、その発言は二転三転するばかりだった。

(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

本田、“どこかのポジション”で先発へ

 前節のフロジノーネ戦は後半19分で下げられた本田圭佑だったが、ボローニャ戦は先発出場する模様である。ポジションは…前線の右寄りのどこか適当な場所とお考えいただきたい。クリスティアン・ブロッキ監督によれば、「ミランは前節4-3-1-2で戦ったのではなく、本田もトップ下ではなかった」というのだ。

「彼にはピッチの特定のゾーンをカバーするように命じ、攻守両面での仕事を実によくやってくれた。2点リードされてより攻撃的なFWを入れざるをえなくなっただけ。先日も言ったが、プレーそのものはとても良かった」

 ということなので、本田は先発する模様だ。「システムなどは単なる数字の問題。大事なのは戦術をどうやって解釈して実行するかという問題で、実際動かし方は違う。前節は本田を右から中へ絞らせる動きをさせていたし、(マリオ・)バロテッリにも別の役割を敷いていた」とブロッキは言う。

 トップ下というか、2トップの一列下に置きピッチの中央に鎮座させるような役割には当てはめてはいない、と強調したかったようである。

 それにしても、よく分からなかった。「システムなど単なる数字の問題」と言っていたが、数週間前に4-3-1-2の利点について数字を並べて力説したのはこの人だったはずだ。大事なのは戦術解釈の実行というのなら、別に4-4-2でも構わないのではと思うのだが…。

 挙げ句の果てには「4-4-2でこのチームは機能するという理屈も私にはわからない。だいいち4-4-2をしないのは(ジャコモ・)ボナベントゥーラがいないから」とものたまっていた。就任初戦、ボナベントゥーラを4-3-1-2のトップ下で使ったのはあなたではなかったのかと?


相手チームも4-3-1-2は対策済み。本田は攻守で貢献できるか

 ブロッキ監督の言葉尻を捕まえてうるさく批判するのも申し訳ないのだが、システムとポジションの解釈については会見ごとに齟齬が生じる感じだ。

 本日の会見後、同席していたイタリア人記者も一様に首をひねっていた。まあ、4-3-1-2をめぐる議論が一人歩きしてしまっていることに戸惑っているというのは伝わる。「同システムの導入は会長命令」と見られているが、外野からそう見られるのもプレッシャーであるのかもしれない。

 しかしブロッキ監督が就任してからというもの、相手チームはミランが4-3-1-2のシステムを基本にポゼッションを仕掛けることを前提にカウンター戦術を組んでおり、それがいずれもハマっている。カルピ、エラス・ヴェローナ、そしてフロジノーネともに中央のスペースを固め、ミランが前がかりになったところを突いて戦略を優位に進めていた。

 ボローニャは、彼らよりもさらに組織守備が整備されている。前線中央を消すのみならず、プレスも緊密に掛けてパスを出さないようにするだろう。ミランがフロジノーネ戦のままの状態なら、前線はより孤立するはずである。

 それを避けるために、本田が貢献できるかが試合のポイントだ。サイドに流れたところで守備に参加しつつ、ボールを集めてリズムを作り、パスを離した後でいかにうまくフリーとなり、前線のスペースへ顔を出せるか。右で作って、中へ絞る。そういった動きのメリハリの中でチャンスを作ることが求められそうだ。


サポーターに忍耐を求めた名誉会長

 さてブロッキ監督のことに戻るが、彼だって頑張っているというのは伝わる。「サポーターからはやる気がないのかと非難されたが、EL出場を目標に練習から真剣に努力している。私にとって今のミランの選手は全て一番優秀な選手たちであり、私は彼らを擁護し続ける」と会見で懸命に語っていた。この空気の中で、選手たちを導く監督の務めを果たそうとしているのだ。

 その一方、シルビオ・ベルルスコーニ名誉会長はフェイスブック上でメッセージを発信していた。「私の心はあなた方と同様に苦しんでいます。いや、それ以上だ。私は1億5200万ユーロの私財をつぎ込んだのだから。(中略)この30年間、私たちはシャンパンとキャビアで沢山お祝いをしてきたではないですか。今はうまく結果が出ませんが、やがてそれも過ぎるでしょう。ですので、もう少し気品を持ってチームをサポートしようではありませんか」

 地元サポーターからは監督更迭劇の批判に始まり、身売りを迫られるという状況に対しての反論である。

 これもまたさらにサポーターの怒りを呼んでいるようなのだが、それも当然だろう。「今我慢してチームをサポートしろ」という忍耐をこの数年間真っ先に破り続けたのは、一体誰だったのか。

 その混乱が払拭されないまま、コッパ・イタリア決勝まであと2週間。ミランの選手たちには、せめて決勝を楽しめるようなチーム状態に持って行って欲しいものである。

(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

フットボールチャンネルより


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